プロジェクト管理に関する本や研修やセミナーなどは実に多い。そして「プロジェクト管理はこうだ。システム開発はこうだ」などと色々と語られている。だが、中小規模のプロジェクトと大規模なプロジェクトのやり方の相違点や注意点については、ほとんど言及されていない。

 すると、それを学んだ多くのSEはプロジェクトの規模に関係なく「プロジェクト管理やシステム開発はこうやるもんだ」と往々にして一律に考える。事実、そう考えてプロジェクトをやっているSEは少なくない。これはIT企業の経営者や営業なども、しかりである。

 だが、筆者の経験からみると、それには少なからず疑問を感じる。それは、大規模プロジェクトをやったSEが中小規模のプロジェクトをやると、往々にしてトラブルを起こすからだ。また、中小規模のプロジェクトをうまくやっていたSEが大規模プロジェクトをやる場合もトラブルを起こすケースが多い。それで多くのIT企業が痛い目に遭っているはずだ。

 きっと、そのような心当たりのある読者の方もいると思う。そこで今回はこれについて述べる。SEをはじめ、IT企業の多くの方々の参考になれば幸いである。

ブロジェクトの規模を考えてアサインする

 IT企業はプロジェクトをやる際に、プロマネ(プロジェクトマネジャー)に加えて、アプリケーションやインフラ構築のキーとなるSEを誰にアサインするかを考える。そのときは一般に、SEのアベラビリティー(可用性)はもちろんだが、プロマネやアプリケーション開発をするキーのSEについては、その業界の経験があるかどうか、プロジェクトの経験や技術面のスキルはどうか、などと考える。また、インフラ担当については、主にシステムの難しさや技術面のスキルなどを考える。

 だが一口にプロジェクトと言っても、大規模なものから中小規模のものまで色々ある。このプロジェクトの規模を考えてプロマネやキーのSEを考えないと、プロジェクトは往々にしてうまくいかない。先ほど述べたように、大規模プロジェクトができたからといって小規模プロジェクトは必ずしもうまくできないし、また小規模プロジェクトができたからといって大規模プロジェクトはうまくできないからである。これはプロジェクトをうまくやるための原則の一つである。