米Google社がトヨタ自動車の「プリウス」をベースとした自動運転車を公開したのは2010年(関連記事1)。それ以降も自動運転車の話題は豊富だ(関連記事2)。2013年10月5日まで開催の「CEATEC 2013」では、日産自動車が「リーフ」ベースの実車によるデモを来場者に見せた(関連記事3)。国土交通省は、10月8日に「オートパイロットシステムに関する検討会」での中間とりまとめを公開している。自動運転について、普段は自動車分野の取材をしていない記者の疑問を調べてみた。

日産自動車の自動運転車(出展:関連記事4)
日産自動車の自動運転車(出展:関連記事4)
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 周囲の状況に応じて加速・制動・操舵を自立的に操作する自動運転。この技術にまつわる記者の疑問は、(1)自動運転の定義、(2)実用化に貢献している技術、(3)ロードマップ、(4)事故時の責任の所在である。書籍『自動運転と衝突防止技術2013-2014』(日経BP社発行)や国土交通省が2012年6月から検討してきた「オートパイロットシステムに関する検討会」での公開資料を基に紹介する。

 (1)自動運転とは、運転操作の主体(運転主権)が主に自動車にある運転を指す。「オートパイロットシステムに関する検討会」は、大きく二つの定義を示している。

 一つは完全自動運転(無人運転)。すべての操作を緊急時にも自動車が行う。もう一つは、加速・制動・操舵のすべてまたは複数を一度に自動車が操作するが、緊急時にはドライバが対応する運転(複合化・高度化した運転)。加速や制動などの単独操作は、自動運転には含めない。つまり、実用化済みのACC(adaptive cruise control)機能による運転は自動運転ではないが、運転主権が完全に自動車側になくても自動運転とみなすというのが、同検討会による定義である。