古くから犯罪捜査にも使われてきた、個人を特定する技術が身近なものになっていきそうだ。指紋認証技術である。指の表面の凹凸で成り立つ指紋は、ひとり一人の模様が異なる。これをオンライン・ショッピングなどの個人認証に用いる動きが広がろうとしている。

Apple社の「iPhone 5s」
Apple社の「iPhone 5s」
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 キッカケは、2013年9月10日に米Apple社が発表したスマートフォン(スマホ)の最新機種「iPhone 5s」である。同社はこの機種に指紋認証機能「Touch ID」を搭載した。スマホ下部のホームボタンに指を置くと、指紋を読み取る仕組みだ。

 スマホをはじめとする携帯端末に指紋認証機能を加える取り組みは初めてではない。だが、なかなか浸透していないのが実情だ。プライバシーの観点から自身の生体情報を用いることに壁を感じると同時に、対応するオンライン・ショッピングなどのサービスも限られていたことが大きい。

 Apple社は今回、この技術をスマホの待ち受け画面の解除と、同社のオンライン・ストアで、アプリケーション・ソフトウエア(以下、アプリ)などを購入する際の認証手段として採用した。これまでは、待ち受け画面の解除で4ケタの数字を打ち込んだり、アプリ購入でIDとパスワードを入力したりする必要があった。指紋認証機能は、このプロセスを簡便化することが狙いだ。