RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が日本企業の間で大ブームだ。マイナス金利政策の長期化などの影響による経営環境の悪化を受け、コスト削減に迫られている金融機関を中心に、導入事例が続々と登場している。

 RPAに多くの企業が引きつけられるのは、導入によるコスト削減の成果が数字としてはっきりと見えるからだ。例えば、2014年夏からRPAの適用を進めた三菱東京UFJ銀行によると、約2年間で約20種類の業務にRPAを導入し、年1万時間分の作業を減らす成果を得たという。

 日本企業の場合、RPAに関心を示す理由がほかにもある。日経コンピュータ2017年11月23日号特集にもあったように、業務の効率化やコスト削減に資するとされた従来のソリューションに比べ、RPAは導入時の負荷が極めて低いのだ。

 例えばERP(統合基幹業務システム)を導入する場合、全社的な業務改革を伴わなければ効果を見込みにくい。事務作業を部署単位の分散処理から集中処理に変えるなど、業務プロセスの抜本的な変更が必要になるため、利用現場にも、改革を主導する経営やIT部門にも大きな負担を伴う。業務改革に挫折し、既存の業務に合わせる形で大量のアドオンを開発することになった事例は枚挙にいとまがない。

 RPAは既存の業務をそのまま自動化することが多い。もちろん導入効果を高められるように業務の手順などを改善する企業も一部にはあるが、抜本的な業務改革には至らずに、現場のカイゼン活動にとどまることが少なくない。ERP導入に伴う業務改革に比べると現場の抵抗感は少ないから、IT部門にとっても負担感は少ない。結果としてコスト削減に成功すれば、経営としても満足できる成果となる。

業務のブラックボックス化進む

 改革に取り組まず、現行の業務をそのまま自動化するだけでよいのか。RPAの売り込みに熱心なITベンダーの担当者に疑問をぶつけてみたところ、答えは極めてシンプルだった。