既存ビジネスのグローバル化、あるいはITを活用した新規ビジネスへの対応など、今IT部門は従来とは異なる役割を、経営や事業部門から強く求められている。当然、違う技術やスキルも必要になる。「対応は難しい」などと言えば、社内で“抵抗勢力”とのレッテルを貼られかねない。

 そんなわけで、組織変革や部員の意識改革に乗り出すIT部門が増えてきた。だが、その多くはうまくいかないはずだ。断言できる理由は簡単。そうしたIT部門では、以前から改革の取り組みを何度も試みた。でも、うまくいかなかった。その時と比べ、IT部門内部の状況はほとんど変わっていない。そんな組織が変革に取り組んだところで、結果は同じと考えざるを得ない。

 だが最近「これは!」と思う試みに続けて出合った。大手企業2社が別個に行っているのだが、中身は同じ。何かと言うと、インド人技術者をIT部門に招いて、開発プロジェクトなどに参加してもらう、ただそれだけの取り組みだ。ただしインド人技術者の選抜では、一つ条件があった。それは、日本語が全く話せず覚える気もない人であることだ。

 それだけのことで、この2社のIT部門では絶大な効果があった。インド人技術者は絶対に日本語で話さないから、IT部門の“公用語”はもちろん英語。しかも、ロジカルに説明しないとインド人技術者は理解しないから、議論に曖昧性が無くなった。

 その結果、日本語でいつものメンバーと議論していたころよりも、意思疎通が図れるようになった。さらに、海外子会社など事業部門とのやり取りにも、IT部員が臆することなく臨めるようになったという。