随分前から「もう古い」と言われ続けてきたCOBOL言語。それでも、COBOLで書かれた業務アプリケーションは、今も多くの企業で利用されている。特に金融機関では、膨大な量のCOBOLアプリケーションがバリバリの現役。金融機関でも大手ともなると、年間で500億円以上もの巨費を、COBOLアプリケーションの保守に費やすというから、驚きである。

 巨額の保守費用は当然、IT予算を圧迫し、攻めのIT投資を難しくする。金融機関の場合、先端ITを活用して新たなサービスを創るFinTech(フィンテック)関連などの投資を増やさなければいけないから、由々しき問題である。本来なら一刻も早く、肥大化したレガシー資産を今主流の技術基盤に移し、同時にスリム化を図る必要がある。

 実際、保守業務の非効率性は目を覆うばかりだ。ある大手金融機関では、プログラムを1行直すだけでも2カ月かかる場合もあるという。あまりにも長期間にわたり属人的な保守を続けてきた結果、コードがスパゲティー化し、わずかな変更であっても影響の及ぶ範囲を容易には特定できないからだ。システムトラブルのリスクは高まり、ビジネスサイドの要求に迅速に応えることもできない。

 コードがスパゲティー化し影響範囲を容易に特定できない現実は、抜本的刷新に踏み切るのをちゅうちょさせる壁ともなる。多くの金融機関で経営課題と認識されながらも、相当の覚悟が問われるので経営者やIT部門は決断を先送りしてきた。そして、年を追うに従いアプリケーションは複雑性を増し続けた。COBOL資産の規模が金融機関ほどではないが、他業種でも似た状況のユーザー企業は多い。

“おいしい”商売もいよいよ最後

 この悩ましい問題に、損害保険ジャパン日本興亜がついに断を下した。他の大手金融機関と同様、同社でも保守費用は年間で500億円を優に超える。この膨大なCOBOL資産の大半をJavaに切り替える。プロジェクトは2015年春からスタートしており、数年をかけて順次移行する計画という。