やはりコンサルタントが必要だ──。最近そんな声をよく聞くようになった。実はこれ、ユーザー企業ではなくITベンダーの声だ。もう少し限定すれば、今までコンサルティング部隊を置いたことがないSIerから聞こえてくるようになったのだ。

 実は、SIerはソリューションの提案を有償にしたい。だが、提案がSIなどの案件獲得に向けた営業活動の一環だと、ユーザー企業からお金が取れない。そこで、提案をコンサルティング活動に位置付け直して、ユーザー企業に料金を請求しようというわけだ。

 ユーザー企業の人は、ここまで読んで「なぜITベンダーの営業活動費を我々が負担しなければならないのか」と強い違和感を持ったに違いない。単なる“物売り”なら、その通りだ。しかし、ユーザー企業が要件を詰め切れない開発案件などで、ソリューションの提案を無償で求めるのは、逆にITベンダー側から言うと、かなり虫のよい話なのである。

 ユーザー企業が要件を決められないから、その解決策をITベンダーに求めるわけだ。本来、その提案が本物なら付加価値は高いはず。当然、ITベンダーが提案のために費やすコストも膨大なものとなる。

 まず、ユーザー企業の業務に精通した優秀な技術者をアサインする必要がある。案件によっては1カ月から数カ月をかけて、IT部門だけなく利用部門や経営層にもヒアリングして課題を特定し、その解決策となるシステム像を提示しなければならない。実態的にはまさにコンサルティングと変わらない。