東京オリンピックの開催まで、いよいよあと4年だ。待ち遠しくて書いているのではない。むしろ逆で最近、開催までの年月を指折り数えては、かなりペシミスティックな気分になっている。なぜ、そんな気分になるかというと、日本経済や日本企業の構造改革が一向に進まないからだ。

 今、日本では少子高齢化が進んでいる。このままでは東京オリンピック後に大変な事態となる。2020年代には日本経済が一気に衰退する怖れがあるのだ。にもかかわらず、構造改革は遅々として進まない。欧米ではデジタルトランスフォーメーション、つまりITを活用した改革の可能性が言いはやされているが、日本は蚊帳の外である。

 現時点では、少子高齢化が進んでいると言っても、リタイアした団塊の世代がパワフルな消費者として日本経済を下支えしている。元気でお金と時間に余裕のある人が多いから、最強の消費者と言ってもよい。そんな頼りになる世代も歳を取り、2025年には全員が後期高齢者に移行する。つまり、団塊の世代が消費パワーとしては退場していくのが、2020年代なのだ。

 このマイナスのインパクトは相当なものだ。東京オリンピックまではインフラ特需もあり、少子高齢化の影響はある程度、相殺されているが、宴が終われば日本経済には、少子高齢化の影響がもろに効いてくる。明確に意識しているかどうかは別にして、日本経済の急速な衰退、あるいは崩壊の悪い予感が、日本中を覆っているのだ。

 安倍政権が推進するアベノミクスは、そんな悪い予感の一掃を狙うものと言ってよい。いわば執行猶予期間である東京オリンピックまでに、日本経済の構造改革を実現し、成長軌道に乗せることで、社会保障制度も持続可能にする。まさに日本の将来はこの数年にかかっていると言ってよい。