タイトルを見て誤解する読者がいるといけないので、先に言っておくが、事業部門のシャドーITが正しいという意味ではない。IT部門が「シャドーIT」という言葉を使うのは、そろそろやめたほうがよいという警告だ。

 シャドーITは言うまでもなく、IT部門があずかり知らぬところで、事業部門が独自にシステムを構築・利用することを指す。IT部門から見えないので、陰(シャドー)のITというわけだ。おそらく「陰でコソコソやる」といったネガティブなニュアンスも込められているのだろう。

 だが実態は、もはやシャドーとは言えない。今やその大半は、IoT(インターネット・オブ・シングズ)のビジネス活用や、デジタルマーケティングの推進など、ビジネスのデジタル化の取り組みだ。「デジタルをやれ」という経営からの指示もあり、事業部門に言わせれば、自分たちの取り組みこそIT活用のメインストリームである。

 つまり、シャドーITではなく「シャイニー(輝く)IT」だ。むしろIT部門が管理するバックヤードのシステムのほうがシャドーに相応しい。実際、大手サービス業でデジタルに取り組む人たちに会った際、「IT部門との連携は?」と聞いたら「我々以外のIT部門って何」とキョトンとされてしまった。それぐらい事業部門の“IT部隊”からはIT部門が見えないわけだ。

デジタルでIT部門の役割は重要

 今や多くの企業では、既存のIT部門と事業部門のデジタルチームという二つ(場合によってはそれ以上)のIT組織が並存している。IT部門が事業部門の取り組みをシャドーITと呼ぶのは、よしたほうがよい。さらに言えば、二つのIT組織はもっと協力・連携を図っていくべきなのだ。