今回は本シリーズの最終回となります。今回は、話題に上ることが多い「ビッグデータ」を医療分野に活用するという視点で話をします。

 その前に、医療を取り巻く政策的な動きで、本連載に関連の深い話題がありましたので触れておきます。

 2014年6月25日に、正式名称を「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」という「医療介護総合確保法」が一部公布となりました。その中の一つが、「新再生基金」と表現されることのある「新たな財政支援制度(基金)」です。

 この基金の活用に際しては、事前に計画を立てて厚生労働省に提出する必要がありますが、その計画を立てる上で参照すべき事前方針が9月18日に告示されました。それが「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(以後、総合確保方針)です(地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針)。

 この内容に基づいて都道府県から厚生労働省に計画が提出され、10月16日に基金の交付が内示されました。

 本連載の最初に、地域医療連携ネットワークの多くが地域医療再生基金によって広まってきたと書きました(関連記事)。この新たな財政支援制度(基金)も、2014年(平成26年)度分は地域における医療機関の機能分化と連携、つまり地域医療連携に活用するように意図されており、その旨が方針にも記載されています。

 さらに2015年度以降は、介護を含む地域包括ケア、医療と介護の連携に向けて活用するように意図されています。

 この方針の中には、「医療・介護分野における情報通信技術(ICT)の活用は情報共有に有効な手段であるため、個人情報を保護し、コスト低減に努めながら、情報通信技術の活用を進めていくことが重要である」との記載があります。ICTの活用に当たって必要な措置をとることの重要さや、導入システムの低廉化への努力についても記載があります。