デジタルネイティブという言葉を覚えているでしょうか。生まれた時からインターネットが存在し、上の世代とは異なりネットをまるで母国語(ネイティブ)のように使う世代を指す言葉です。日本では1990年半ば以降に生まれた、ちょうど大学生くらいの層が第一世代にあたります。

 デジタルネイティブは、ネットを自在に操り、これまでとは違う新たな価値観を持った世代の登場として注目されました。6年前にNHKが「デジタルネイティブ 次代を変える若者たち」という番組を放映したことで話題となりました。当時は一部の特別な才能を持った子どもたちのことだけだと思われていた事象は、ソーシャルメディアやスマートフォンの普及により、今ではリアリティのある現象として受け止められています。

 新たな世代に、その上の世代が異質感を持つことはこれまでも繰り返されてきました。現時点の若者も20年前そして30年前の若者も、上の世代に異質感を与えてきました。

 ただし時代ごとに異質感を生みだす要因は異なります。デジタルネイティブとノンネイティブの間にある大きな違いは、インターネットによって劇的に変化した情報化社会の存在、そしてソーシャルメディアへの関わり方です。

 今回はデジタルネイティブにとってのソーシャルメディアの価値と、ノンネイティブである私たち上の世代が感じるデジタルネイティブへの異質感について解説します。

デジタルネイティブを無視できない

 デジタルネイティブの特徴としてよくあげられるのが次の三点です。

  • ネット上での出会いも、リアルなものと同様に受け入れられる
  • 相手の年齢や所属や肩書にこだわらない
  • 情報入手は無料と考える

 デジタメネイティブという言葉の響きは、特別なグループをイメージさせます。実は、フラットな世界観や独自の価値観の中で成功を求める、現在の若者全般に指摘されている特徴を持つ人たちと重なります。環境の変化に対応して才能を開花させる一部の天才たち、例えばソーシャルメディア時代の先端を走る米フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーク氏への理解はイノベーションのヒントとなっても、ビジネス展開での汎用性はありません。