「IBMの7~9月期決算は大幅減益、半導体事業をGLOBALFOUNDRIESに譲渡」を読みました。10四半期連続の減収と前年同期比で純利益99.6%減の業績はもちろんですが、半導体製造部門を譲渡するというニュースに驚かされました。個人的には、IBMショック発生という感じです。

 不採算部門の売却は合理的な判断ですが、半導体はコンピュータメーカーの競争力の源泉です。基礎研究などは続けるということですが、製造部門なしで半導体競争を勝ち抜いていけるのかどうか、疑問が残ります。製造を外部に委託していた米サン・マイクロシステムズが、半導体開発競争に敗れ、米オラクルに買収されたのはそれほど昔の話ではありません。

 業績を見ると、ハード、ソフト、サービスのすべての部門で売り上げが減っています。利益率の高いソフトやメインフレームといった事業が増収基調に戻ればいいでしょうが、そうでなかった場合、次の一手は何になるのでしょうか。

 アップルとの提携でモバイル向けのソリューションは伸びるかもしれませんし、ビッグデータ解析の市場も拡大するでしょう。一方で、価格競争の激しいクラウド事業やまだ収益化の道筋がはっきりとは見えない次世代コンピューティングへの投資が、再成長に向けた切り札になるのか、確信は持てません。

 ただIBMウオッチャーから「高すぎて事業の自由度を奪っている」と言われてきた、2015年の利益目標を取り下げたことは将来への布石になりそうです。IBMの動きは必ず、富士通やNEC、日立といった日本のコンピュータメーカーに波及していきます。自社製半導体にこだわってきたメーカーの世界がどう変わるのか、追いかけていきます。