飛び石連休の間、ITを発注する側と受注する側の双方に向けた記事を公開しました。「元ソニーCIOと対決前夜! - 経営者の間で台頭するCIO不要論」と「IT技術者不足が招くデスマーチと負のスパイラル」です。いずれも力の入った記事で、いろいろと考えさせられました。

 前者はITproの人気連載である「木村岳史の極言暴論!」の特別企画です。一番驚いたのは、以下の一節でした。

 「実際、CIOを廃止した企業にも出会った。これも大企業だが、CIOに取材を申し込んだところ、受けてくれた役員が開口一番、『言っておくけど、私はCIOではないからね』と宣言したのだ。CIOは不要と判断して廃止したという。『君のようなIT記者が取材に来たとき困るからね。私がとりあえずIT担当を兼ねているのだよ』。その役員は冗談半分にそんな話をしていた」

 CIOを廃止するような企業が現れる理由については次のように分析しています。

 「確かに大手企業、特に製造業では、経営や個々の事業に必要なシステムはあらかた開発が終わっており、IT部門にはシステム運用ぐらいしか仕事が無い場合が多い。CIOやIT部門がいくら『システムは運用こそが重要だ』と連呼したところで、システム運用は単なるオペレーションの話にすぎず、この経営トップが言うように経営課題にはなり得ない」

 後者は、ITproが7月に実施したアンケートの結果などを元に考えたものです。既に顕在化している飲食業と比較しつつ、「動かないコンピュータの増加」を予言した内容に目が釘付けになりました。

 記事によれば、「障害やトラブルの原因となる地雷を抱えたシステムが、人手不足が深刻化する2015~2017年に大量生産される」ことになります。「人手不足は、すぐに解消されるものではなさそうだ。少なくとも巨大プロジェクトが一段落する2017年頃までは続く見込みで、2020年頃まで継続すると見る向きも強い」ともあります。

 作るべきものがないという理由で発注側に不要論が出ているにもかかわらず、受注する側は人手が足りず、品質に問題のあるシステムが増えるかもしれない、という現実は何とも不思議です。一部の大規模プロジェクトに引っ張られているという事情はあるのでしょうが、説明しても理解できないという人が多いのではないでしょうか。

 明日は休みですが、CIO不要論と技術者不足の間の真実について考えたいと思います。