今週から、「電子立国はなぜ凋落したのか」という短期集中連載を開始しました。全体の要約は「『電子立国は、なぜ凋落したか』~アップルも鴻海も生み出せなかった日本。かつて世界を席巻した日本の電子産業。今や、それは夢まぼろしである。そうなってしまった本当の原因は何か。多面的な視点で解き明かす」というものです。

 「100年ぶりの通信自由化がもたらしたもの(上) 」と「100年ぶりの通信自由化がもたらしたもの(下) 」の2回分を公開したところですが、いずれも読み応え十分でした。電子立国ニッポンの現状について考えていると、ショッキングなニュースが飛び込んできました。

 ソニーが2015年3月期の連結業績を2300億円の最終赤字に下方修正すると発表したのです。モバイル・コミュニケーション分野の営業権全額の減損として1800億円の営業損失を計上するのが理由で、モバイル事業については大幅な売り上げ拡大から、収益性の優先へ戦略を変更したといいます。

 2012年に就任した、平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)は、モバイル、イメージング関連。ゲームの三つをエレクトロニクス事業のコアと位置付けて、再生を図ってきましたが、一角が崩れた印象を受けるのは筆者だけでしょうか。それでも同社の今後の取り組みには期待しています。

 ソニーが再生できた日が、電子立国ニッポンの凋落が終わる日ではないか、と感じているからです。