毎年2回発表される、世界のスーパーコンピュータのトップ500ランキングで、中国の「神威太湖之光(SunWey TaifuLight)」が1位になりました(関連記事:中国の独自開発スパコンがTOP500首位に、京と同等の電力で性能9倍)。2013年6月以降、中国勢のトップが続えているので結果はむしろ順当と言うべきですが、注目すべきは心臓部のプロセッサに純中国産の「申威26010」を搭載していることです。

 SunWey TaifuLightはメニーコアの申威26010を4万960個搭載します。詳しい内容は「HPCに3年ぶり衝撃、中国産プロセッサ「申威26010」を解剖する」にあるとおりです。

 驚いたのは「申威26010の性能値を読み解くと、CPUの演算速度に対して、メモリーのデータ伝送速度(帯域)が小さいというアンバランスさが際立って」おり、「アプリケーションを効率よく動かすため、ソフトウエア面でかなりの努力をしたのだろう」という事実でした(引用はいずれも上記記事)。

 スパコンの性能を限界まで引き出すノウハウはアートにも近い複雑で高度なものだと聞いたことがあります。プロセッサの純国産化に目が行きがちですが、アンバランスなハードを前提に、SunWey TaifuLightを世界一に引き上げた中国勢のソフトウエア技術力こそ、恐るべきものなのかもしれません。