いつの間にか、臆病になっている自分に気付くことがあります。新たな技術やビジネスに挑戦するのに二の足を踏んでいる自分を見つけて愕然としている、という経験がお有りの方もいらっしゃるでしょう。

 チャレンジしないのは、やる気や能力ではなく、分析が足りないからかもしれません。正面から対象に向かい、じっくりと考える時間というのでしょうか。

 「低所得者がスマホを買わないのはなぜ? そんな疑問から生まれたFinTech企業」と「厚切りジェイソン『なぜクラウド導入しないのか!』、AWS活用企業代表らと討論」を読んでいて、こんなことを考えました。直接の関連はない記事ですが、どちらも分析や思考の重要性を指摘していたからです。

 前者は、「米国の低所得者層のスマートフォン所有率が低いのはなぜだろう――。そんな疑問を突き詰めることで生まれたFinTechスタートアップ」(上記記事)である米PayJoyについての記事です。

 同社は韓国サムスン電子のハイエンドスマートフォンであるGalaxyの購入資金を貸し出すサービスをスタートさせました。あえてハイエンドのスマホ向けの資金を貸し出すことにしたのは、記事から引用すれば、「みんな低価格スマホを買って惨めな思いをするぐらいなら、フィーチャーフォン(スマホではない携帯電話機)を使っている方がいいと考えている」ことに着目し、「低所得者のスマホ所有率が低い本当の原因が、低所得者向けのショッピングローンが無いことにあると判断」したからだだといいます。

 資金的余裕のない低所得者からいかにローンを回収するかが、ITの企業ならではの腕の見せ所です。同社は、資金の返済が滞った相手のスマホを利用させなくするソフトをあらかじめインストールすることで、返済意欲を高める工夫を施しています。

 後者は「AWS Summit Tokyo 2016」での対談を記事化したものですが、冒頭に「クラウド導入を試さない意味がない。導入に抵抗があったとしても、理由を冷静に分析すれば抵抗がなくなるはずだ」というコメントがあります。IT会社の幹部社員とお笑い芸人「厚切りジェイソン」という二つの顔を持つジェイソン・ダニエルソン氏によるものですが、なんとなく納得させられました。