「『狙いはオラクル製品からの脱却』、日本MSがSQL Serverへの移行支援策を説明」という記事を公開しています。米オラクルのOracle Databaseと米マイクロソフトのSQL Serverというデータベース2強の争いは、今も続いています。

 移行支援策の内容について記事から引用します。「商用DB製品からSQL Serverへの移行を顧客が約束することを前提に、SQL Serverのライセンス費用を特別価格で提供」し、「SQL Serverに割り当てるCPUコア数でライセンス費用を算出する場合、正規料金に比べて1コア当たり100万円程度の値下げになる見込み」というのが目安です。

 魅力的な支援策に読めますが、簡単には移行が進まないのがデータベースの世界。少なくともこれまではそうでした。ライセンス価格だけでなく、データベース変更に伴うリスクの評価、移行に必要な工数、市場の技術者の数など、複数の要因が関係するからでしょう。

 両者の争いは20年以上続いてきました。SQL Serverは米サイベースの技術を元に生まれたものですが、提供元だったサイベースは欧州SAPに買収され姿を消しています。マイクロソフトがSQL Serverを投入した当初は、オラクルよりもむしろ同じ名前のサイベース製品からの移行を重視していた、と聞いたことがあります。ここまで書いてきて、Oracleという名は、同社の創業者であるラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)が参加したCIAのプロジェクトから生まれた、という話を思い出しました。

 米IBMのDB2、さらには富士通のSymfowareや日立製作所のHiRDB、あるいはオープンソースソフトウエア(OSS)なども存在しますが、市場を引っ張ってきたのは2強です。米サン・マイクロシステムズをオラクルが買収したことで、OSS版RDBの代表とも言うべきMySQLの運命が変わらなければ市場の様子は異なるものになっていたのでしょうか。

 現状を変えるのはクラウドかもしれません。オラクルもマイクロソフトもデータベースのクラウド化を済ませましたが、クラウドネイティブとも言うべき米アマゾン・ドット・コムのAmazon RDS for Auroraが気になります。追いかけていきます。