米オラクルのマーク・ハードCEO(最高経営責任者)による、同社のクラウド戦略説明会に行ってきました。内容も面白かったのですが、同氏らしさを感じた場面が印象に残りました。

 競合他社とオラクルのクラウドがどう違うのかについて、自分で手書きしたホワイトボードを用意し、この書き込みを指し示しながらハードCEOが語っていたことです。書き込みの詳細は「『SalesforceやSAPに対し、統合力で差異化』、米オラクルのハードCEO」から確認できます。

 長年、IT関連の記者会見に出席してきましたが、ホワイトボードに手書きしたメッセージを使うCEOを見た記憶はありません。いや、CEOでなくてもです。この珍しい光景を、いかにもハードCEOらしいと感じたのには理由があります。

 「カーリーのプレゼンはPowerPointを使いながら華麗に進んでいくが、マークは暗記している数字をホワイトボードに次々に書き込みながら早口で話す。どの数字も経営に関連した重要なものだが、よくあれだけ覚えていると感心した」

 オラクルに入社する前、ハード氏が米ヒューレット・パッカード(HP)でCEOを務めていたころでしょうか。前任のCEOであるカーリー・フィオリーナ氏と比較したこんな話を聞いたことがあったからです。

 華麗さや見栄えは気にせず、必要なことを自分が最善と考える手法で伝える。CEOとしてハード氏が必ず結果を出してきた理由を垣間見た気がします。