NTTドコモは、NTT東西から光回線サービスの卸を受け、固定ブロードバンドサービス「ドコモ光」を2015年2月より提供開始することを発表した。携帯電話と固定回線のセット契約による、いわゆる“セット割”も提供するとしている。ドコモ光は、苦戦が続くNTTドコモの巻き返しの起爆剤となるだろうか。また、NTTグループのセット割の提供に猛烈に反対していたライバル他社は、どのような反応を示しているのだろうか。

新料金プランによる苦戦が続く中、発表された「ドコモ光」

 NTTドコモは2014年10月31日、2014年度第2四半期の決算を発表した。その内容は、売上高が前年同期比の1.2%減、営業利益は15.5%減など非常に厳しいものであった。それを受けてNTTドコモは、2015年度通期の連結業績予想を下方修正した。営業利益は7500億円から6300億円へ、1200億円も大幅に下げる見通しだ。

 その主因は、ユーザーの新料金プランへの移行のようだ。新料金プランへの移行が想定を上回ったことで、音声通話が急速に減少した一方、新料金プランを契約したユーザーが、最も安価で低容量のパケット定額サービス選ぶ割合が高く、パケット収入が伸び悩んだのだ。iPhoneの投入やキャッシュバック競争の落ち着きなどで競争力自体は回復しつつあるものの、最近競争上の武器としてきた新料金プランへの移行が、実は同社を苦しめていたのだ。

 決算発表の場では、苦戦が続いていることを印象付けたNTTドコモだったが、一方で、同じ場で、新しい発表も行っている。それが「ドコモ光」だ。これはかねてより噂されていたNTTドコモの固定ブロードバンドサービスだ。2015年2月よりサービスを開始するとのこと。ドコモ光のベースとなるのは、NTT東西の「フレッツ光」である。

 NTT東西は5月、光回線によるサービスを他社に卸売りする「光コラボレーションモデル」の提供を発表している。NTT東西は従来、「フレッツ光」として自社で固定ブロードバンドサービスを提供しているが、近年は携帯電話に押され、加入者の伸びが鈍っていた。そこで他の企業に光回線のサービスを卸売する光コラボレーションモデルを提供することで、市場を活性化しようとしているのである。

 実際、ソフトバンクBBも10月31日、光コラボレーションモデルによる卸を受けて固定ブロードバンドサービスを実施することを明らかにするなど、利用を表明する事業者が現れてきている。そしてNTTドコモも、この光コラボレーションモデルによる卸売りを受けてドコモ光の提供に至ったわけだ。

決算発表会の場で発表された固定通信サービス「ドコモ光」。NTT東西の光回線サービスの卸を受けて提供するもの
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決算発表会の場で発表された固定通信サービス「ドコモ光」。NTT東西の光回線サービスの卸を受けて提供するもの
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決算発表会の場で発表された固定通信サービス「ドコモ光」。NTT東西の光回線サービスの卸を受けて提供するもの