『プログラムはなぜ動くのか』(日経BP社刊)、『コンピュータはなぜ動くのか』(同)などのベストセラーを通してコンピュータの仕組みを分かりやすく伝えてきた矢沢久雄氏が、新刊『すごい! なぜ? どうして? 子どもといっしょに コンピュータとプログラミングを学ぶ本』(同)を上梓した。同氏にとって初めて、子どもから大人までを対象にしたコンピュータとプログラミングの書籍となる。書籍への取り組みを通じて、同氏のプログラミング教育に関する考えを聞いた。

(聞き手は田島 篤=出版局)


 矢沢さんが『プログラムはなぜ動くのか』『コンピュータはなぜ動くのか』(通称「なぜシリーズ」)を執筆された15年くらい前と比べて、これらの仕組みを知ることの必要性は変わってきていますか。

[画像のクリックで拡大表示]

 当時よりも社会におけるITの位置付けが高まっています。第4次産業革命といったはやり言葉を持ち出すまでもなく、社会や生活の至るところにITが関わっていますよね。そのため、ITを支えるコンピュータおよびプログラミングの仕組みを知る意義も高まっていると思います。

 これらの仕組みを知る意義は高まる一方で、以前から変わらないと思うのは、仕組みを知ることがなぜ大事なのかという点です。モノの仕組みを知ること自体が楽しいし、仕組みが分かるとそのモノを好きになりますよね。これが一番大事なことじゃないかと思うのです。

中身を知ると好きになる

 この点については、次のようなたとえ話をよく話します。「自動車を運転できるだけの人」と「ボンネットを開けていじってみたい人」のどちらが運転を楽しめて、うまくなるだろうかというものです。自動車整備の資格を持っているわけでないのに車をいじってみたくなる人というのは、自動車を好きになりますし、運転もうまくなるでしょう。

 それと同じようにコンピュータに関しても、中身を知ると好きになります。まずは読者にコンピュータを好きになってほしいんです。好きになってしまえば、あとは自発的に知るようになりますから。