アップルが提供する各種サービスへのログイン時にユーザー名(アカウント)として共通に使えるメールアドレスのこと。

 iTunes Storeから曲や映画などのコンテンツを購入したり、App Storeからアプリをダウンロードするとき、iCloudを使ってコンテンツを保存するときなど、さまざまな場面で使用する。Apple Online Storeでの購入やApple Storeでのサービスの予約、Appleサポートへのアクセスにも用いられる。

 iPhoneやiPad、iPod touchなどのiOSデバイスは事実上、Apple IDの使用を前提に設計されており、機能をフルに生かすにはApple IDの入力が欠かせない。このため端末の普及に合わせてApple IDのアカウント数も急増。アップルによれば、全世界で8億件を突破しているという(2014年前半時点)。

 Apple IDの多くにはユーザーのクレジットカード情報がひもづけられているほか、iCloudを通じて写真など、各種の個人データが管理されている。このため、セキュリティ面への潜在的な懸念も高まっている。

 実際、過去にはApple IDの乗っ取り事件や、iCloudに保存したハリウッドセレブのプライベート写真が流出する事件などが発生している。アップルによれば、これらはいずれもシステムの脆弱性を突かれたものではなく、簡単なパスワードを使っていたり、パスワードの使い回しなどが原因だという。

 こうした動きを受けて、日本を含む多くの国や地域で2段階認証(2ステップ確認)システムを導入するなどセキュリティの向上が図られている。