米IBMが開発した質問応答システム。自然言語で書かれた質問を理解し、あらかじめ登録した文献データなどをもとに質問への答えを導き出す。2011年1月に米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」で歴代クイズ王に勝利したことで一躍有名になった。

 「ジョパディ!」の対戦向けにIBMが開発したオリジナルのWatsonは、同社が開発した複数の自然言語認識技術やデータマイニング技術、データ分析技術の集合体である。複数の技術をシステムの中で競わせ、質問に対して複数の回答と、それぞれの回答への自信度を算出できる。

 IBMは2014年より、Watsonの技術を応用したデータ分析サービスを相次ぎ商用化した。いずれもオリジナルのWatsonが持つ自然言語認識、自信度の表示といった技術要素を取り出し、既存のデータ分析ソフトウエアと組み合わせたものである。

 各サービスにおけるオリジナルWatsonの寄与度はまちまちだが、いずれも「平易な言葉で質問するだけで、分析結果を返してくれる」という簡便さは共通している。同社は「Watson」を、特定のシステムを指す言葉から、「誰でも簡単に質問でき、専門家のような的確な答えを返してくれる」というユーザー体験を象徴するブランドへと昇華させる考えのようだ。

 クイズ王を打ち破ったWatsonの神通力を、次なる成長ビジネスにつなげることができるか。技術、営業、マーケティングを含めたIBMの底力が問われそうだ。