1994年11月に創業したヘルシーネットが前身。大分県臼杵市に本社を置く、うすき製薬の創業家に生まれた後藤玄利氏がアクセンチュア(旧アンダーセンコンサルティング)を辞めた後、起業した。当初はダイレクトメールを使ってうすき製薬の商品を通信販売していたが、2000年にECサイト「ケンコーコム」を開設。2003年に社名をサイト名と同じケンコーコムに変更した。

 ケンコーコムは一般用医薬品を販売して業績を伸ばしてきたが、2009年6月に施行された改正薬事法において、厚生労働省が省令で対面販売を原則として第一類医薬品および第二類医薬品のインターネット販売を規制。2009年5月にケンコーコムはウェルネットとともに省令による規制が憲法違反に当たるとして、行政訴訟を起こした。一審の東京地裁ではケンコーコム側の主張が認められなかったが、二審の東京高裁では一転、インターネット販売を認める判決が下りた。その後、2013年1月に厚生労働省の上告が最高裁に棄却されたため、ケンコーコムの勝訴が確定した。

 医薬品のネット販売の道を切り開いたケンコーコムだが、厚生労働省による数年にわたる販売規制の影響を受け、大幅に売り上げが減少。2012年には第三者割当増資を実施し、楽天がこれを引き受ける形で楽天グループ入りした。その後、楽天自身が直販する「楽天24」事業を譲り受けたものの、今後の戦略において楽天側と意見が折り合わず、2014年8月末、後藤社長は突如、退任を表明した。今後、楽天から社長が派遣される予定。