Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は、主に業務システムのサーバーOSとして使われている有償のLinuxディストリビューション。特徴の1つは、通常サポート(10年)と延長サポート(3年)からなる13年間の長期サポートサービスだ。

 一般に業務システムは、いったん構築すると、細かな保守開発を伴いながら数年以上にわたって利用され、10年以上使われることも珍しくはない。そこで、従来は10年だったサポートサービスの提供期間が、2007年3月にリリースされたRHEL 5以降は13年に延長された。通常サポートにおいては、リリース後に登場したハードウエアに対応するためのデバイスドライバの追加や、セキュリティアップデートの実施を主目的とした、マイナーバージョンアップが繰り返される。

 2014年6月10日には、最新版のRHEL 7がリリースされた(国内では7月10日に発表)。RHEL 7では、クラウドインフラで使われ出した仕組みが業務システムなどにおいても利用可能になるよう、各種機能が強化された。

 従来版のRHEL 6ではカーネルバージョンが2.6.32だったが、RHEL 7では3.10を採用した。これに伴い、RHEL 7にはNUMA(Non Uniform Memory Architecture)マシンを高速化する「自動NUMAバランス」や、メモリーが足りなくなった際にスワップ領域にメモリーを追い出すとき、その内容をキャッシュする「zswap」といった新機能が加わった。

 このほか、システム起動時にユーザー空間で動くサービスの起動に用いるinitプログラムがSysVinitからsystemdに刷新され、サービスを並列起動できたり、必要なプログラムのみを起動できたりするようになった。また、アプリケーション配信基盤「Docker 1.0」のパッケージが搭載され、プロセス空間を高い独立性を持つ複数の区画に論理分割できる「コンテナー」の利用が簡便になった。