欧州SAPのデータベース(DB)製品。メモリー内でデータを処理するインメモリーDBであり、かつカラム(列)型テーブルを使ってデータを処理するカラム型(カラムナー)DBであることが特徴だ。これにより、大量データの高速処理を可能にしている。日本では2010年に出荷を開始し、2014年に最新版SP9の提供を始めた。オンプレミス型(サーバー設置型)のほか、「HANA Enterprise Cloud」といったクラウド型がある。

 SAPはHANAを単なるDB製品というよりも、ERP(統合基幹業務システム)をはじめとする同社製品のプラットフォームと位置付けている。2014年のFIFAワールドカップでドイツチームの優勝に貢献したとされるデータ分析アプリケーション「Match Insights」で採用するなど、業務分野以外への応用も進めている。

 ERPを軸とするビジネスアプリケーション製品としては、HANAに最適化した「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を2013年に提供開始。2015年2月に発表した新製品「SAP Business Suite 4 SAP HANA(S/4HANA)」も、HANAを基盤に据えている。

 23年ぶりに全面刷新したS/4HANAでは、動作基盤としてHANAのみを採用。従来のように他社製DB製品を利用できない。既存ユーザーがスムーズに移行できるかなどの課題はあるが、SAPは「社内の誰もが意思決定に必要な情報を即座に参照できる」環境の実現に不可欠であるとして、HANAの活用を推し進めていく構えだ。