クアルコムは、移動体通信分野の大手企業。1985年設立で、米国のサンディエゴに本社を置く。社名のQualcommは、QualityとCommunicationsを組み合わせたもの。CDMA(Code Division Multiple Access/符号分割多元接続)と呼ばれるワイヤレス技術に注目し、この方式での携帯電話の実用化に成功して成長した。

 2015年2月、クアルコムは、中国でビジネスを進めるうえでのリーガルリスクに関連して、他山の石となる事例を提供することになってしまった。同社は2月9日、価格設定慣行を調査していた中国国家発展改革委員会(NDRC)と和解したと発表した。

 実は同社は2014年、中国国家発展改革委員会(NDRC)から独占禁止法違反の疑いをかけられ、調査を受けていた。その内容は、無線通信市場での地位を乱用し、価格の吊り上げなどに関与した疑いがあるというものだ。支払った罰金は、60億8800万人民元(約9億7500万ドル)に上る。当初は10億ドルを超えるのは確実と予想されていたが、それは下回った。

 実は同社は、中国当局と改正プランを履行すると約束しており、この効果が大きかったと考えられている。改正プランには、3Gと4Gに関する中国特許のライセンスを他の特許とは別に提供すること、4Gデバイスに対するロイヤルティ率は5%、4Gデバイスに対するロイヤルティ率は3.5%とすること、特許使用料の算出基準を正味販売価格の65%にすることなど、こと細かく決められている。