消費税の8%から10%への引き上げが2015年10月の予定から2017年4月まで延期になった一方で、10%への引き上げ時に導入が検討されているのが軽減税率だ。軽減税率は食料品など生活に密接に関連する商品などに限って、消費税率を低く抑える考え方を指す。軽減税率の導入は消費者にとっては経済的な負担につながるが、軽減税率の対象品目を扱う企業にとっては対応の負担が重くなる可能性が高い。

 軽減税率が導入された場合、消費税を計算するシステムで、複数の税率を扱うための設定が必須になる。POS(販売時点情報管理)システムなどが代表例だ。これまでの日本では、消費税率は一律が前提となっていたため、商品ごとに消費税率を設定する機能がないシステムは入れ替えが必要になるなど、新たな投資が発生する可能性がある。システムが複数の税率に対応している場合も、商品ごとに消費税率を設定するといった手間が発生するなど、企業側の負担は大きい。システム対応の観点から、軽減税率の動向に注目しておくことが欠かせない。