現在、国内のゲームアプリ市場で2大勢力となっている「モンスターストライク」と「パズル&ドラゴンズ」。この二つが共に中国進出のパートナーとして選んだのが、「WeChat」などの人気コミュニケーションサービスを抱えるテンセントだ。テンセントが人気アプリに選ばれる理由はどこにあるのだろうか。そして中国市場進出に当たっての課題はどのような点にあるだろうか。

国内の2大勢力が中国進出にテンセントを選ぶ

 去る12月10日、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)は、人気ゲーム「パズル&ドラゴンズ」の海外事業展開における新しい発表を実施した。それは、中国のインターネットサービス大手のテンセントと提携し、テンセントが中国版パズル&ドラゴンズを独占配信するというものだ。

 ガンホーは昨年後半よりパズル&ドラゴンズの海外展開を積極化させ、昨年にはソフトバンクと共同でフィンランドのスマートフォンゲーム大手、supercellを買収。同社との共同プロモーションによって欧米市場攻略を目指したが、大きな成果を得ることができず8月に売却した。その後配信を開始した香港と台湾で人気を獲得したことを受け、アジアや新興国への進出を積極化させている。

 そうしたことから、今後大きな成長が見込める中国市場への足掛かりを作るべくガンホー社はパートナーを探していたと見られる。中国ではiPhoneより、コストパフォーマンスが高いAndroidを搭載したスマートフォンが広く普及している。だがGoogle Playは実質的に利用できず、中国企業が運営する独自のアプリマーケットを経由しないとアプリを配信できない。それゆえ、どのアプリマーケットと組んでアプリを配信するかが中国市場へ進出するには大きな鍵を握るのだ。

中国版「モンスターストライク」のロゴ。中国では12月11日より、テンセントのプラットフォームで配信を開始している(画像はプレスリリースより)
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中国版「モンスターストライク」のロゴ。中国では12月11日より、テンセントのプラットフォームで配信を開始している(画像はプレスリリースより)

 ガンホーは、テンセントと組んでゲームを配信するという判断に至った。だがテンセントは、ミクシィの「モンスターストライク」の独占配信権も獲得しており、12月11日より配信を開始している。つまりテンセントは、日本の2大ゲームの独占配信権を獲得したこととなるのだ。