キャリア各社が力を入れて展開しているのが、スマートフォンアプリを定額料金で“取り放題”となるサービスである。8月29日には、ソフトバンクモバイルが米スプリントと共同で「App Pass」を開始する。日米で同時にアプリ取り放題サービスを提供することに、いったいどのような狙いがあるのだろうか。サービス開発に携わったメンバーへの取材から確認してみよう。

サービス提供に大きく影響したスプリントの買収

 “アプリ取り放題”サービスは、キャリアが事前に審査した人気アプリを定額料金でダウンロードできる。根強い人気があり、auの「auスマートパス」は割引クーポンやセキュリティなどにサービスの幅が広がっているとはいえ、今年8月には1100万会員を突破する。

 このアプリ取り放題サービスにソフトバンクモバイルが参入する。同社は米国のスプリントと共同で、アプリ取り放題サービス「App Pass」を提供すると発表した。

8月29日にサービスを開始した、ソフトバンクモバイルのアプリ取り放題サービス「App Pass」
8月29日にサービスを開始した、ソフトバンクモバイルのアプリ取り放題サービス「App Pass」
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 同サービスは、日本では月額370円、米国では4.99ドルを支払うことで、通常売り切り型の有料アプリとして配信されているアプリを中心に、90種類前後のアプリがダウンロードし放題になる。加えて、アプリ内課金を採用したゲームなどに利用できる500円分のチケットが毎月もらえるのも、大きな特徴となっている(ただし、チケット残額を翌月へは繰り越せない)。

 だが、国内でアプリ取り放題サービスが登場してから2年が経過している状況下で、なぜ今、ソフトバンクモバイルはApp Passの提供に至ったのだろうか。同社 サービスコンテンツ本部 新規事業開発部 新規事業開発4課 課長の甲立隆雄氏によると、キャリアの付加価値を向上させる狙いのほか、スプリントの買収も大きく影響しているという。