この年末年始のテレビCM施策で大きな注目を集めたのが、芸能人など著名人と話ができることを特徴として打ち出した、サイバーエージェントの子会社が提供するトークアプリ「755」だ。このタイミングで755への注目が高まったことは、今後のアプリマーケット動向を占う上で非常に大きな意味を持っている。

テレビCMの大量投下で注目された「755」

 アプリマーケット上で配信されるアプリ数が大幅に増えている昨今、ユーザーがアプリマーケット上で直接アプリを探し出すことが難しくなっている。この動きに伴って従来ダウンロード数の向上に有効とされてきたアプリマーケット施策、具体的には広告を主体としたインターネット上のプロモーション施策の効力も、かつてに比べると下がってきた。

 一方で利用が急増しているプロモーション手段の一つが、テレビCMである。コストが非常にかかるものの、幅広い層の人々にアピールでき、認知度を短期間で高められる点が評価されている。2014年にはゲームアプリだけでなく、「グノシー」「メルカリ」などの実用系アプリがテレビCMで知名度を大幅に高めたことから、一つの手段として認知されるようになった。

 1年の中で多くのアプリ関連CMが放映されるシーズンの一つとなっているのが年末年始だ。その理由は、休暇中のユーザーの空き時間を狙ってゲームアプリを中心とした多くのアプリが、テレビCMを大量投下するケースが多いため。2014年末から2015年初めにかけても、ゲームアプリを中心に、「comico」「LINE MALL」といったアプリのテレビCMが放映されていた。

写真●著名人のトークにコメントができる「755」は年末年始のテレビCMで大きな注目を集めた
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写真●著名人のトークにコメントができる「755」は年末年始のテレビCMで大きな注目を集めた
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写真●著名人のトークにコメントができる「755」は年末年始のテレビCMで大きな注目を集めた
写真はサイバーエージェントの2014年9月29日プレスリリースより

 そうした中でも、ひときわ注目を集めたのが「755」だ。サイバーエージェントの子会社7gogoが提供するトークアプリで、自分の“トーク”に参加したメンバーのメッセージにコメントを付けながら、コミュニケーションを進めていく(写真1)。トークアプリというと、LINEなどのように特定の相手とメッセージを交わすメッセンジャーアプリをイメージしがちだが、755は短い文章で不特定多数との会話がオープンで交わされるスタイルとなる。どちらかといえばTwitterに近い使い勝手といえよう。

 755のアプリ自体は2014年2月に提供を開始しており、元ライブドア社長の堀江貴文氏が監修を務めたことで、当初から注目を集めていた。“755”という名称は、堀江氏が収監時に付けられた囚人番号というエピソードもある。