多くのネットサービスがネイティブアプリでサービスを提供するようになるなど、アプリの重要性が大きく高まっている。一方で、HTML5などWebベースの技術によるアプリやサービスの開発も、地道ながらも続いている。Firefox OS搭載端末の登場で再び注目されつつある、Web技術を使ったモバイルでのサービス・アプリ開発の可能性とその課題を追ってみよう。

Firefox OS搭載端末が国内でも登場

 iPhoneが登場してからおよそ8年が経過し、スマートフォンが多くの人々の手に渡った現在、その上で動作するアプリの概念も大きく変わってきている。かつてアプリは、Webなどでは提供がしづらかったツールやゲームなどを開発・提供するための存在として位置づけられていた。サービスはWebブラウザー上で、ツールはアプリでと、ある程度の線引きがなされていた。

 だが多くの人がスマートフォンを手にし、アプリの利用頻度が高まったことから、ユーザーの利便性を考慮して、従来はWebで提供していたサービスを、アプリで提供するケースが増加している。それに伴い、スマートフォンのコンテンツ開発でも、HTML5をベースとしたWeb技術から、SwiftやJavaなどアプリ開発に必要な言語技術が重要視されるようになってきた。

 だが一方でアプリ化の進行は、スマートフォンのプラットフォームを提供するアップルやグーグルへの依存度を大きく高めることにもつながる。そのことを懸念し、Webベースによるモバイルの技術開発を盛り上げようという動きも、以前から起きている。そしてWebベースの技術を使ったプラットフォームとして代表的な存在となるのが、Mozillaが提供する「Firefox OS」だろう。

 Firefox OSを搭載した端末は既に海外で投入実績があるが、新興国向けの安価なローエンド端末に限られていた。だが2014年末、KDDIがFirefox OS搭載のスマートフォン「Fx0」を投入したことで、ついに国内でもFirefox OSの利用が可能となった(写真1)。これにより、Web技術によるアプリケーション開発にも、再び注目が集まりつつあるようだ。

写真1●国内で初めて投入された、Firefox OSを採用したスマートフォン「Fx0」
写真1●国内で初めて投入された、Firefox OSを採用したスマートフォン「Fx0」
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