「ITを活用して建設コストを削減したい」――。新人営業のD太君と先輩SEのM子さんは、住宅メーカーQ社の要請に応えるべく、情報システム担当のH課長とYさんのもとに駆けつけました。2人は、測量や監視など業務利用が広がるドローンの活用を提案。業務用途がドローン市場の成長を牽引すると見られ、機体の軽量化や電池の長寿命化など、産業用ドローンに求められる技術を持つ日本企業の役割が大きくなりそうです。

H課長 「ITを活用して建設コストを削減できないか」。社長からこう言われたんだ。いい案はないだろうか。

D太 ドローンを活用しませんか。

H課長 ドローン…。あの話題の?

D太 ドローンは無人航空機の愛称です。無人航空機は国際的には、UAS(Unmanned Aircraft Systems)またはUAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれています。そのなかでも回転翼が4枚以上あるマルチコプター型の無人航空機のことを、ドローンと呼ぶことが多いですね。現在、日本国内で2~3万台のマルチコプターが販売されていると言われています。

Yさん そんなに?

D太 そのほとんどは、家電量販店や模型店で販売されているホビーユースです。カメラを搭載したホビーユースのドローンを操縦して、空中撮影を楽しむ人が増えています。

Yさん そうなんですか。

M子 そのドローンはいま、企業の業務に利用されるようになってきました。一例が測量に用いること。建設機械メーカーが建設用地の測量を効率的に行うツールとして、ドローンを採用しています。

H課長 どんなふうにドローンを活用するのかな?

M子 例えば、住宅を建設する前に、建設用地の整地を行いますよね。

H課長 丘陵地帯に住宅を建設する場合、土地を平らにしなければならない。そのためには、土地の測量が必要だ。現場の広さにもよるけれど、2人がかりで測量して作業が終了するまでの期間は1カ月から2カ月。測量に時間とコストがかかるのが、住宅メーカーやデベロッパーの悩みだね。

M子 ドローンを用いれば、測量コストを削減できます。

H課長 本当に?