「マイナンバー制度への対応を進めたい。でも何をしたらいいのかわからない。至急来社して相談に乗ってくれないか」――北関東でディスカウントショップを展開しているP社のT社長から要請があり、新人営業のD太君と先輩SEのM子さんはP社に駆けつけました。応接室で待っていたのはT社長と情報システム担当のKさん。マイナンバーの利用がスタートするのは2016年1月で、待ったなしの状況。果たしてP社の対応は間に合うのでしょうか?

T社長 遠いところ、よくきてくれた。

D太 マイナンバー制度に対応したいということでしたね。

T社長 2016年1月からスタートするマイナンバー制度に企業も対応する必要があると、商工団体の会合で聞いたんだ。でも、正直言って何をしたらいいのかわからない。力になってほしい。

M子 まず、マイナンバー制度について概略をお話ししましょう。マイナンバーとは、国民一人ひとりに割り振る12桁の個人番号のことです。マイナンバー制度の目的は、社会保障や税、災害対策の分野における行政の効率化を図ることです。

T社長 国民にとってのメリットはどうなの?

D太 現状では、国民が年金や児童手当を申請する際に、源泉徴収票や住民票などの書類を添付することが必要ですが、政府のシステムと自治体のシステムを接続する中間サーバーの運用が始まる2017年からは、添付書類の提出は不要になります。個人番号カードをもって行政窓口にいけば申請が済むようになります。

Kさん 書類を集めるため手間と時間が不要になるのはうれしいですね。

D太 国民が自分の個人番号がどう扱われているかを確認可能とする、マイナポータルというサイトが提供されることになっています。そのマイナポータルに、役所が提供している住民サービスに関する情報をプッシュする仕組みもスタートします。

Kさん それなら、住民は制度のメリットを確実に享受できるようになりそうですね。

M子 でも、マイナンバー制度に対する国民の認知度は低いのが現状です。内閣府が2015年2月19日に発表した調査によると、マイナンバーの「内容まで知っていた」という回答は全体の28.1%と3分の1以下という状態です。マイナンバー制度に対する企業の認識も、高いとは言えません。

Kさん そうなんですか?