今回は、アニメ映画でヒット作を量産しているピクサーと創業者の類似性に注目したコラムです。イノベーションを起こそうとする人は、ピクサーから学ぶことが多いという分析です。(ITpro)

 異なる産業分野間において、イノベーションの関連性が予想外にあると気付いたことには、今でも驚くばかりです。

 「Innovation@50x」のプロセスに焦点を当てた、ある大企業の最近のワークショップで、創業者や大企業内の起業家は、会計士というより、むしろ芸術家のように行動する、と私は指摘しました。つまり、彼らは生まれながらに、他の誰にも見えない何かが見えているのです。
 
 すると、そのワークショップにいたイノベーターの1人が「あなたが言っていることは、ピクサーのCEOであるエド・キャットムルが『CREATIVITY, INC.』(邦題:ピクサー流 創造するちから)で書いているのと、全く同じです」と発言しました。

 「何だって」。 私は、ピクサーのことを考えるべきだったと、強く悔やみました。

 エド・キャットムルが覚えているとは思いませんが、ピクサーがまだスタートアップ企業で、イメージ・コンピュータを販売しているとき、同社のセールス・マーケティング担当副社長は、自社のマーケティング戦略を立案するために私を雇いしました。当時、ジョン・ラセターはTVコマーシャルの制作を始めたばかりで、アルビー・レイ・スミスはアイスマンを制作しており、ローレン・カーペンターとロブ・クックはレンダーマン(訳者注:アニメーションやビジュアル・エフェクトを描写する先進技術)を開発していました。

 ピクサーを観察することで、企業の創造性を学べると、私は気付くべきでした。そして、私はその本を買いました。

 私が「創業者は芸術家」というたとえを使ったとき、私が言及した「芸術家」は、画家か、作家か、彫刻家か、作曲家を考えていました。アニメーション・スタジオのピクサーはどんな教訓を、創業者に提供するのでしょうか。類似性は何でしょう。

 スタートアップ企業の創業者は、混沌と不確実性の中で創業しています。創業者は建物を出て、顧客と面談します。創業者は 仮説とビジョン(未来像)を検証するため、最少機能の製品(MVP)を制作し、イノベーションを支援する文化を構築します。ピクサーの3Dアニメーション映画の監督が、「芸術家である創業者」と同じかもしれないとは、考えつきませんでした。

 彼らは、芸術家である創業者なのです。実際に、ピクサーにおける創造的なプロセスは、スタートアップ企業の創業者や大企業のイノベーターに、たくさんの教訓をもたらします。