ブランク氏が提唱する「リーン・ローンチパッド」「顧客開発」の手法は、イノベーションを志向する大組織にも広がっています。今回は、米国海兵隊によるイノベーション文化の醸成に関する考察です。(ITpro)

 米国海兵隊本部の諜報部門の主任技術責任者であるジェニファー・エドジン氏は、諜報局長の上級技術顧問として、海兵隊諜報、監視、偵察機関(MCISRE)に新しい技術を構築し、採用する責務を担っています。彼女は国防省内における「イノベーション武装勢力」の1人で、迅速なイノベーションを推進しています。今回は、 彼女が海兵隊に構築したリーン・イノベーション・アクセラレーターの説明です。

 米国民100人に「米国の海兵隊を説明してください」と尋ねたら、「戦士」「猛烈果敢」「愛国者」「高潔」「不屈」などの言葉が返ってくるでしょう。海兵隊の文化は、何世代にもわたって、勇気、高潔、献身に基づいています。海兵隊は、新しい使命の要求に常に対応し、変化に順応し、障害と逆境を乗り越えるということで通っています。

 3年前、海兵隊諜報局は、最前線の戦争行為である「電子戦」で起こっている破壊活動を抑えるための、使命の概要を記述しました。この使命を達成するため、海兵隊の忍耐強さ、敏捷さ、順応性を活用して、永続的なイノベーション文化の枠組みを作りました。

 この枠組みを作った主な目的の1つは、ユーザーを中心に置き、彼らの課題に対する答えを迅速に提供することです。この目標を達成するために私たちは、米国海兵隊諜報・監視・偵察機関(MCISRE)アクセラレーターを設立しました。技術系スタートアップ企業のアクセラレーターのように、MCISREアクセラレーターは、現役のすべての階級、経験、分野で訓練を受けた海兵隊員と、技術者、デザイナーとメンターとを組み合わせ、12週間の「デザイン」「開発」「展開」のコースに参加させます。

 海兵隊員は、リーン・スタートアップ、デザイン・シンキング、サービス・デザインなどの手法を教えられ、それらの手法を使って課題に集中します。すなわち、目標とする顧客層を見つけ、課題とその解決策を「建物から外に出て」検証し、彼らの同僚にその課題と解決策を提示してフィードバックをもらい、骨子とプロトタイプを設計し、最低限の使える製品(MVP)を開発し、最後に諜報局長やその他の指導者、利害関係者らにMVPを提案し、「やるか」「やらないか」を問うのです。

 昨年中に私たちは、自分たちが作った枠組みを注意深く観察し、何が有効かそうではないかを早急に見極め、それに基づき調整し、その結果が海兵隊員と海兵隊諜報局全般にわたって、価値を生み出すように努めました。結果、 イノベーションを成功させるには、次の5項目が必要だと確認しました。