今回も、ブランク氏がゲストを迎えるラジオ番組の対談シリーズの要約になります。起業における実践の重要性が話題の1つです。また、ベンチャー企業のトップは、自分の事業アイデアに自信を持つあまり唯我独尊に陥りがちです。今回のエピソードは、そうした起業家への戒めとなりそうです。(ITpro)

 起業家には、魚料理のディナーをごちそうするより、どのように魚を釣るかを教えなければなりません。そしてスタートアップでは、かなり早い時期に、だれかの助言が求められています。

 「支援することと、支援されること」。これが、今回のラジオ番組「起業家の肉声」(Entrepreneurs are Everywhere)の2人のゲストからのメッセージです。

 ニューヨーク大学の起業家研究所(NYU Entrepreneurial Institute)の代表を務めるフランク・リマロブスキーは、ラジオ番組で、同研究所がNYUの文化をどう変革しつつあるか説明してくれました。BioDigitalの共同創業者であるフランク・スカリーは、会社を始める前に知っておけばよかったことを、共有してくれました。

起業家に魚の釣り方を教える

 フランク・リマロブスキーは、ニューヨーク大学の起業家研究所の代表で、ニューヨーク大学イノベーションベンチャー基金のマネージング・ディレクターも務めています。彼は、ニューヨーク大学工学部と全米科学財団(NFS)のI-Corpsで教えており、ギフ・コンスティブルと共に「人と話す:成功の始まりは、顧客を理解することから」(Talking to Humans:Success Starts With Understanding Your Customers)を著しています。

 フランクは20年以上にわたり、テクノロジー企業(ルーセント、サン・マイクロシステムズ、アップル、ネクスト)とベンチャーキャピタル業界で働いてきました。

 NYUでの起業家プログラムは、単に授業を提供しているだけではありません。フランクの目標は、生徒たちに職歴を重ねる間ずっと使えるスキルを持たせてから、NYUを卒業させることです。フランクは、それをどのように達成するのか説明しています。

 NYUの起業家研究所では、教授と生徒が、スタートアップ企業の創業の仕方を学ぶのを支援するため、たくさんの必要な資源やプログラムを提供します。私たちが彼らに代わってそれを遂行するのではなく、たとえるなら、魚を料理してディナーに出すのではなく、魚をどのように釣るのかを教えるのです。

 学習単位が取れる起業家クラスもありますが、大半は課外カリキュラムか共同カリキュラムで学びます。それがクラスやある種のカリキュラムであっても、全てに共通するのは、私たちが単に起業家手法の理論を教えるのではなく、それをどのように実行するのかを教えるということです。

 スティーブ、あなたは以前私に、どうすれば起業家になれるのかを教えるのは、手術の方法を教えるのと良く似ていると教えてくれました。本を読んだだけでは、どのように手術すればいいのか理解することは期待できません。教室を出て、それを学ばなければならないのです。