今回から、2回に渡るシリーズ投稿のテーマは「米国海軍のイノベーション」。今回は、その発想のきっかけとなった海軍空母への訪問エピソードが綴られています。(ITpro)

未来は到来していますが、偏在しているだけです ――シリコンバレー視点の技術適応度合

脅威は到来していますが、偏在しているだけです――中国の軍事戦略と航空母艦

 窓のない飛行機に後ろ向きに座り、4点式の安全ベルトで固定され、救命胴具を着用し、頭はヘルメットで、目はゴーグルで覆われると、頭脳は加速を処理することができなくなります。 C-2 A Greyhound機が、空母のカタパルトから空中に放り出されるように離陸すると、2~3秒後に空母の数百m上空まで時速235kmの速度で上昇するので、誰もが「すごい、何だこれは!」と叫びます。でも、雑音とヘルメットと聴覚防具で何も聞こえません。

 私はつい最近、メキシコ海岸から160kmほど離れた空母「U.S.S. Carl Vinson」で2日間過ごしました。空母へは、小型の貨物輸送機を使って離着陸しました。(訳者注:空母U.S.S. Carl Vinsonは1983年に処女航海をし、米海軍の10隻の核燃料空母の1つとして従事しています)

 空母からの離着陸は偉大な象徴です。それは「力の象徴」の誇示であり、場合によっては「暴力の象徴」でもあります。

 空母に乗っていると、そこに乗船し米国に奉仕をしている献身的な人たちと海軍に、 感銘せずにはいられません。そして、もちろんそれが、2日間の滞在の目的でした。海軍はこのプログラムを「米国海軍の啓蒙活動」と呼んでいます。毎年、重要な影響者(海軍は「著名な訪問者」と呼びます)900人を西海岸の空母に、500人を東海岸の空母に招待しています。これらの訪問は、任務で従事しているときではなく、空母が沿岸冲で訓練しているときに組まれています。私は、「国防のためのハッキング」で講師を務めたピート・ノーウエルと一緒に参加し、スタンフォード大学のCISAC(国際安全保障協力組織)とフーバー機構からは11人が参加しました。

 艦上では、空母の物理的な配置、航空隊員の作業方法、空母に付随している他の艦隊(空母打撃群)との連携方法を学びました。しかし、私が学んだ最も重要なことは、破壊的な変化は民間企業にだけ起こっているのではなく、海軍にも起こっているということでした。加えて、私たちが開発した、大企業向けのリーン・イノベーション手法が、海軍にも当てはまるということでした