今回の投稿は、起業家と投資家の関係がテーマです。当初から企業買収を前提に起業する人は多くないかもしれませんが、ブランク氏が提示する企業買収に向けて準備しておく6個のステップは、とても興味深いものです。(ITpro)

 スタートアップ企業に資金提供する理由は、さまざまなものがあります。スタートアップ企業で働く理由も、人それぞれです。しかし、企業が資金提供を受ける理由はただ1つです。それは、資金の流動性です。

良いニュース

 ほとんどの創業者にとって、スタートアップは職業ではなく天職です。

 しかしながらスタートアップは、製品開発のための資金があらかじめ必要で、後には事業拡大のための資金が必要です。通常の貸し手となる銀行にとってスタートアップは、銀行の一般貸付にはリスクが大きすぎると考えます。幸いなことに、20世紀の最後の25年くらいに「リスク資金」と呼ばれる新しい資金源が出現しました。リスク資金では、現金を供与すると交換に、借入金(貸付金)ではなく、株式を取得します。

 今の創業者たちは、これまでになかった多額のリスク資金を、未公開株として利用できます。

 ベンチャー・キャピタルの中核は、未公開株と呼ばれる資産のごく一部です。過去40年間にわたり、ライフサイエンスとITにおける革命に財務的な「燃料」を投下し、世の中を変える手助けをしました。

悪いニュース

 スタートアップ企業が、創業者の「何か新しいものを作りたい」という情熱に駆られているとき、スタートアップ企業への投資家は「投資効率」という別の意図を持っています。ベンチャーキャピタル(VC)は、多大なリターンだけを期待しています。VCは、年金基金のように、有限責任パートナーから資金を集め、複数のスタートアップ企業に投資をして、リスクを分散します。有限責任パートナーがVCに投資をして、彼らの資金を長期的に運用する見返りとして、リスクの高いスタートアップ企業に投資をするVCは、他の種類の投資では得られないような大きいリターンを約束します。

 VCの見込み計算は、例えば以下のようなものです。

 あるVCが、早期のスタートアップ企業10社に投資したとすると、平均的に5社は失敗し、3社は投資金額が戻ります。残り1~2社は「勝者」になり、それがVC基金の儲けのほとんどになります。VC基金にとっては、最低限の「恥ずかしくない」リターンは毎年20%なので、年期が10年のVC基金は、投資資金の6倍のリターンが必要です。2社の「勝者」への投資が30倍のリターンをもたらすと、VC基金は複利で20%のリターンになりますが、それは最低限の「恥ずかしくない」リターンなのです。

 一方で、エンジェル投資家は単なる利益を求める投資ではなく、多くの場合、他の理由(例えば、先駆者の成功援助)によって投資します。エンジェルが求めるリターンは、VCより少ないかもしれません。