今回から4回の投稿は、大企業における研究開発(R&D)に焦点をあてたものになります。現在、大企業の研究開発部門が技術進化に追いついていないのは、時代の必然だとブランク氏は分析します。それでは、企業はどうすべきか。その答えに注目です。(ITpro)

 私が最初にエバンジェロス・シモウディス氏と知り合ったのは、彼が米IBMのシステム・インテリジェンス・ソリューションズ部門長をしていたときで、その後彼は、自身の最初のスタートアップ企業、カスタマー・アナリティクスのCEO(最高経営責任者)になりました。エバンジェロスは、過去に15年間、最初はエイパックス・パートナーズ、その次にはトライデント・キャピタルでVC(ベンチャー・キャピタリスト)をしていました。最後の3年間、彼は100社以上の企業と共同作業をし、そのうちの多くの企業が、シリコンバレーに「イノベーション前哨地」を設立しました。現在彼は、それらの企業が、シリコンバレーから最大の効果を得られるよう支援しています。

 エバンジェロスと私は、大企業の新規事業に向けた新しいモデルが書籍になることを期待して、協力し合っています。大企業によるシリコンバレーの活用に対する彼の洞察が、これから始まる4回のブログ・シリーズの中心です。

 過去40年間、ソーシャルメディア、通信、ライフサイエンスなどの分野で、先端技術が爆発的に採用され、新しい産業、市場と顧客層が出現しました。先端技術と新規参入企業の数が増えただけでなく、先端技術が既存の企業を破壊する頻度も増加しています。その結果、企業は継続的に破壊的事象に直面し、今ある企業組織の戦略と構造では、イノベーションの速度に追従できません。

 このテクノロジー・イノベーションの爆発と、それに伴う企業戦略と組織構造への混乱は、なんら新しいことではありません。カロッタ・ペレツ氏が図1で指摘しているように、技術革命は約半世紀ごとに起こっています。ペレツ氏によると、過去240年の間に、このような技術革命は5回起こったそうです。

図1 過去240年に勃興した5個の技術革命
図1 過去240年に勃興した5個の技術革命
「産業革命(機械、工場、運河)」(英国で1771年に始まる)、「蒸気・石炭・鉄鋼・鉄道時代」(英国、1829年)、「鉄鋼と重工業時代」(英国・米国・ドイツ、1875年)、「自動車・原油・石油化学と大量生産時代」(米国、1908年)、「ITと電気通信時代」(米国、1971年)という5個の技術革命を経験してきた。今後は、バイオテクノロジーやナノテクノロジー、バイオエレクトロニクス、新素材の時代と目されている(出典:カロッタ・ペレツ氏)