前回は、様々な意味で使われがちなリードの定義を7つに分類することについて解説した。今回は、このリード分類を念頭にマーケティングオートメーションへの取り組みのROI(投資対効果)算定に向けたKGI(重要目標達成指標)/KPI(重要業績評価指標)の設定に関して解説していきたい。

 株式会社シャノンが実施した「BtoBマーケティングに関するアンケート調査」(2014年)によると、マーケティング活動のKPIを設定・評価している企業は6割にのぼり、その内訳は「実施した施策の数」(4%)、「獲得リード件数」(26%)、「活動から得られた商談数」(10%)、「活動から得られた売上額」(20%)となっている。一方で「特に決まっていない」と答えた企業が4割となっているそうだ。

 4割の企業が評価未設定という事実は気になる一方、「活動から得られた商談数」「活動から得られた売上額」といった収益性を念頭においた評価を設定する企業も一定数あり、効果測定に対する取り組みが進みつつあることは前向きな兆候だ。しかし、依然として「マーケティング活動における課題」の第1位には「活動の成果が見えない」が昨年の調査結果に引き続いて挙がっており、成果の測定に対して多くの企業が悩みを抱えている様も浮き彫りになっている。

あらゆるKPIを網羅する必要はない

 マーケティング施策に関わる全てのキャンペーン別リード数や高スコアリード数の遷移、商談転化率、受注率改善、リード獲得費用などをもれなくKPIとして設定し、週次・月次のレポーティングまでも自動化できれば、マーケティングオートメーションへの取り組みの成果がつまびらかになると多くの人が考えるだろう。

 しかし、当たり前だがマーケティングオートメーションを導入・運用する目的は、「KPIをもれなく設定・測定すること」ではなく「確度の高いリードの創出」による「売上・利益の最大化」だ。リソースが限られるなか、測定業務ばかりに多くの時間をかけることはできない。

 また、活動にかかった業務時間を人件費に換算したり、他部門も含めて実施する活動の費用を案分したりすることは、企業規模が大きくなればなるほど現実的ではなくなる。特に、これまで何らKGIやKPIなどを定めてこなかった企業の場合などは、いきなり高度かつ網羅的なKPIの設定と計測に取り組むのは、ハードルが高いと感じるはずだ。

 そこでまず提唱したいのが、「マーケティング活動の貢献によって生み出された取引先や商談」をきちんと計測することに主眼を置き、受注における「マーケティング貢献割合」をきちんと判明させる、簡易なROIの算定から始めることを提唱してみたい。