シリコンバレーで人工知能開発レースが過熱しているが、法理論の研究も進展している。高度に進化したロボットが犯罪を犯したとき、司法はどう裁くのかがテーマになっている。自動運転車が犯罪に関与したら、誰が責任を負うのかが現実問題となる日も近い。そもそもロボットに、人間のように、罪を問えるのかも争点となっている。高度な人工知能の誕生に備えた、スタンフォード大学ロースクールの取り組みをレポートする。

スタンフォード大学の公開講座

出典: VentureClef
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 スタンフォード大学ロースクールで、人工知能と法律の関係について、公開講義が行われた(上の写真)。コンピュータ・サイエンス学部で客員教授を務めるJerry Kaplanが、高度に進化した人工知能を法律はどう解釈すべきかについて講義した。この講義は、一般にも公開された。著者も出席し、学生に戻った気分で聴講した。

 講義は確定した法理論を教えるものでは無く、高度に進化した人工知能が社会に入ってきたとき、どんな問題が発生し、それを法律でどう規定すべきか、Kaplan教授の私見が示された。大学を中心に、人工知能に備えた法整備が進んでおり、その一つの考え方が示された。ソフトウエアで例えるとプロトタイプで、法理論コンセプトの“デモ”が行われた。

 講義のエッセンスは、“ロボットタクシー”と銀行のクレジットカード審査に集約される。この事例を使って、高度に進化した人工知能が抱える問題と、それを裁く法律論が展開された。