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木村岳史の極言暴論!

IT部門が唱える滅びの呪文「ゲンコウドオリ」の本当の恐怖

木村 岳史=日経コンピュータ 2017/10/30 日経コンピュータ

 「バルス」。スタジオジブリ制作のアニメーション映画『天空の城ラピュタ』のラスト近くで、主人公たちがその言葉を唱えると城が崩壊し……。宮崎アニメのファンならずともあまりに有名なシーンだが、実は現実の世界にも“滅びの呪文”がある。「ゲンコウドオリ」だ。システム刷新プロジェクトの際にIT部門がこの呪文を唱えると、開発プロジェクトは崩壊するが、実は滅びはそれだけにとどまらない。

 「ゲンコウドオリ」は本当に強力な呪文だ。客のIT部門が唱えてITベンダーが受け入れることで、この滅びの呪文は効力を発揮する。大規模なシステム刷新の場合だと、プロジェクトは壮絶なデスマーチとなり、何人もの技術者が心身を病んで途中で倒れたりする。挙句、プロジェクトはまさにラピュタの城のごとく空中分解する。ITベンダーと客の信頼関係も木っ端微塵になり、訴訟沙汰に一直線という滅びの道をたどる。

 誠に恐ろしい。多額のカネや技術者の膨大な労力、そしてプロジェクトに費やした時間などの全てがムダになる。だから昔からITベンダーだけでなく、力のあるIT部門の技術者たちは滅びの呪文、つまり「現行通り」は絶対にダメだと言い続けてきた。だが今でも、システム刷新の際に「現行のシステムと全く同じ機能を新システムでも実装してくれ」と要求するIT部門が後を絶たない。

 ITproの読者には「なぜ、それがいけないの?」と疑問を感じる人はいないと思うが、客は逆に「現行通りで当然」と思っている。利用部門としては、システム刷新なんて知ったことじゃない。日常の業務で使っていた便利な機能が新しいシステムで使えればそれでよいし、使えることが絶対条件だ。それに技術に詳しくない利用部門にすれば「今のシステムと同じものを作るのは難しくないはずだ」とも思うだろう。

 問題なのは、利用部門から「現行通りでお願い」と要求されたIT部門までが、その危険性を顧みることもなく、ITベンダーに現行通りでシステム刷新するのを要求してしまうことだ。そしてなぜかITベンダーも受け入れる。その結果、滅びの呪文が効力を発揮する。どうして、そんなことになるのか。そして「ゲンコウドオリ」の本当の恐怖について、いつもの暴論調で順を追って説明しよう。

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