SIerやユーザー企業のIT部門で少子高齢化ならぬ「少“若”高齢化」問題が顕在化してきた。何のことかと言うと、特に大手のSIerや大企業のIT部門で50代のシニア技術者の割合が増え続け、20代、30代の若手技術者の割合がどんどん減っている。システム開発や保守運用の現場は以前、いわゆる男性職場の最たるものだったから、シニア技術者は男性がほとんど。この少若高齢化問題はSIerやIT部門の「オヤジ化問題」と言い換えてもよい。

 SIerやIT部門のオヤジ化問題はシステム開発や保守運用の業務を丸投げし続けたIT部門と、IT業界の多重下請け構造を活用してきたSIerが自ら招いた歴史的必然である。で、これから先、どうなるかと言うと、間違いなく悲惨な事が起きる。だが、当のオヤジたちはあまり困らない。それどころか、ハッピー・シニア・ライフを送れる可能性がある。悲惨なのは中堅・若手、特に中堅の技術者だ。

 その話をする前に、まずSIerやIT部門のオヤジ化が実際にどれだけ進んでいるのか確認しておこう。ITproにこの問題を取り上げた記事がある。まずIT業界のほうだが、記事によるとIT業界の年齢構成は2006年には50代が1割以下だったが、2016年には15.5%まで高まっている。反対に20代は、2006年には全体の3分の1を占めていたが、2016年には20.9%にまで低下した。

 個々のSIerで見ても、2006年度から2016年度の10年間に従業員の平均年齢が2~5歳も“老化”し、大半のSIerの平均年齢は40代に突入している。例えばNTTデータは2歳、野村総合研究所は3歳ほど上昇した。SCSKの2016年度の平均年齢は42.5歳だが、2006年度には前身の住商情報システムが36.2歳、CSKが38.1歳だった。

 実は2000年代半ば、当時の私はSIerをメインに取材していて、既にSIerから「従業員の平均年齢が年々高くなっており、このまま高齢化が続くとマズイのではないか」といった声が上がっていた。SIer、そしてIT業界のオヤジ化は最近始まった話ではなく、20世紀から延々と進行してきたことなのだ。