この「極言暴論」に挑戦状を突きつけた人がいる。元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏だ。IT部門について“あしざま”に書いた私の記事を読み、「ふざけるな!」ということで日経コンピュータに反論を掲載したのだ。

 長谷島氏と言えば、CIO時代の経験を基にIT部門の再生の道筋を説き、そこで働く技術者の幸せを願って止まない人だから、「劣化の進んだIT部門は解体してしまえ」などと主張する記事には、よほど腹に据えかねたらしい。日経コンピュータでの反論記事は2014年10月から12月の3カ月間で7回に及んだ。その間、長谷島氏の下には「木村になんか絶対に負けるな」といった激励メールが多数届いたという。

 その反論がITproの特集連載として転載されることになった(関連記事:長谷島眞時の「IT部門への“極言暴論”を斬る」)。そうなると、私も長谷島氏に絡んで、「極言暴論を斬る」を斬らないわけにはいかない。CIOやシステム部長、そしてIT部員の人たちから見れば、長谷島氏はヒーローで、私はヒール(悪役)といったところだろう。せっかくなのでヒールとしての務めを果たさせてもらおう。

 長谷島氏が問題にした私の主張は、次の6つだ。1)経営にとってIT部門のボスであるCIOは不要、2)劣化の進んだIT部門の再建は不可能、3)抵抗勢力と化した技術者の再生は無理、4)事業部門のシャドーITの取り組みになす術無し、5)M&A(合併・買収)した海外企業のIT部門のほうが優秀なので間もなく取って代わられる、6)ベンダーマネジメントが全くできない。

 こう並べてみると、確かに私はIT部門に対して酷いことを言っている。多くのIT部門は組織面でも人心の面でもガタガタで、経営や事業部門のニーズに対応できておらず、組織の解体・再編などが不可欠だ、と主張しているのだ。長谷島氏ならずとも「ふざけるな」と言いたくなるだろう。「記者ごときが上から目線で何をエラそうなことを言っているのか」。そんな多数の声が聞こえてくるようだ。