この「極言暴論!」を書き始めて、はや2年が過ぎた。ユーザー企業のIT部門やIT業界のおかしさや不条理さなどに切り込む内容からか、読者の琴線、あるいは逆鱗に触れたようで様々なご意見やご批判を頂く。私も可能な限り、そうしたコメントに答えるようにしており、それを機にIT部門やITベンダーを問わず多くの方々との縁が生まれた。

 そんなわけで、最近は「極言暴論!」をネタに色々とディスカッションする機会も増えた。私と問題意識が同じで強く賛同してくれる人もいれば、「お前、ふざけたことを書いているじゃないか」と怒りモードでやって来る人もいる。この前は、製造業のCIO(最高情報責任者)の会合に呼ばれ、完全アウェー状態で2時間にわたり議論するという貴重な機会も頂いた。

 さて、私の暴論に対する異議や反論を聞いたり読んだりしていて気づいたのは、それらが二つのタイプに分けられることだ。タイプ1は「そんなことはあり得ない」「何を言っているのか分からない」というもの。実は、この人たちは、私が描く「極言暴論!」の世界にはいない。ユーザー企業で言えば、それなりの体制を持ち自社のビジネスに貢献できているIT部門の人たちだ。

 それに対してタイプ2は「なぜ、そんな暗い話ばかり書くのだ」「非難ばかりしていないで、解決策を提示しろ」というもの。極めてもっともなご意見だが、「極言暴論!」ではその批判に応えることはできない。このコラムでは、IT部門やIT業界に長くくすぶる問題について極言、あるいは暴論することで、明瞭にすることを狙っているからだ。そして「解決策は皆さんが自分で考えよ」である。

 そう書くと「なんと無責任な!」とまた非難が集まりそうだ。だが、私はこのタイプ2の異議・反論が出てくるところに、より大きな問題が潜んでいると思っている。例えば、そう批判する人に「A社ではこんな取り組みをしている」と告げると、ほぼ確実に「それはA社だからできる」との言葉が返ってくる。前置きが長くなったが、今回はIT部門の「A社だからできる」症候群について暴論する。