まもなく、この「極言暴論」を書き始めて4年を迎える。この間、ユーザー企業のIT部門やITベンダーの“惨状”を暴き続けたにもかかわらず、ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やITベンダーの経営幹部をはじめ当事者の皆さんから、「筆を緩めるな。遠慮せず、もっと書け」と多くの激励を受けてきた。当事者として強い問題意識があるためだろうが、大変ありがたいことである。

 ところが、肝心のIT部門やITベンダーの改革がなかなか進まない。「このままじゃマズイ」と思うのなら自ら変わればよいと思うのだが、「社長がITを分からないから…」とか「客が変わらないと…」とか言い訳ばかりで、一歩を踏み出そうとしない。木村にボロカスに書かれて喜んでいるだけなら、単なるマゾである。私はサドではないので、くれぐれもお間違えなきようお願いしたい。

 そんなわけで、最近ふと「当初はどんな記事を書いていたのか」と思い、初期の記事をみていると「日本企業にソフトは売らない」とのタイトルが目に留まった。実は、極言暴論は日経コンピュータ誌で1ページのコラムとしてスタートし、ITproにも転載していたが、1年弱でITproのコラムへと移行した。この記事は日経コンピュータ版極言暴論の2作目のため、今の極言暴論と全く違って極めてお行儀の良い書きぶりである(関連記事)。

 記事はこんな内容だ。「外資系ITベンダーは日本企業に対してソフトウエアを売らなくなっている。日本で売るのは定番商品に絞り込み、多くの最新ソフトウエアの日本語化を見送っている。米国のITベンチャーの中には、はなから日本に進出する気のない企業も多い。大手IT企業がITベンチャーを買収しても、その製品を日本のユーザー企業に紹介しようとしないケースも多々ある」。

 理由は簡単。もう日本のユーザー企業のワガママに付き合いきれないのだ。企業向けのソフトウエア、特にアプリケーションソフトを投入するのには、多大なコストと手間がかかる。日本語化しなければならないし、SIer向けなどのパートナープログラムも作らなければならない。そのうえ、ユーザー企業の事細かなニーズに応えないと売れない。しかも、そのニーズの多くが、煎じ詰めれば「当社のやり方に対応しろ」といった類いのものだ。