(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=日経コンピュータ/ITpro編集長)
日高:情報システムセンター長として様々な改革を進めていらっしゃいますが、神庭さんはもともと情報システム部門の人ではないですよね。
神庭:全く畑が違います。最初は研究者として入社しました。
日高:色々な仕事をされ、米国で営業の仕事もされた。情報システムセンター長になった当初、どうやっていこうと考えましたか。
神庭:この組織の風土を変えよう、存在価値をもっと上げよう、とすぐに決めました。
存在価値ということでは、やはり経営トップに我々の存在を認めてもらう。そのためにはどうしたらいいかと考え、売り上げや利益に貢献しなければならないという結論に至りました。
早速、「売り上げや利益につながるIT(情報技術)は何か」と考え始めた。当時、日高さんにも質問しましたね。「うちの組織の存在価値をどうやって高めましょうか」とか。
日高:4~5年前に聞かれました。「クラウドってどんなものか」という質問もありました。
神庭:そうでした。情報システム部門の存在価値として、売り上げや利益に貢献するとともに、ITの目利きをする、ということがあります。世の中にある最新のITを評価して、AGCに合うものをうまく使っていく。そこでも貢献したい。
ところが以前は、一人ひとり勝手な目利き的なことを言っていたけれども組織として目利きの仕事をしてきたとは言えなかった。そこで、いつ、どういう技術が使えるのか、技術のロードマップを我々で作ってみようという話になったのです。
日高:目利きをするとともに、そこからビジネスに貢献していくと。
神庭:はい。情報システムのメンバーに最新の使ってみたいITを羅列してもらい、今度はそれを「儲け話につながる技術はあるか」と考えるように頼み、書き出してもらいました。整理していったらクラウドが出てきたのです。
確かな数字があったわけではなくて「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなストーリーが見えてくる技術がいくつかあり、その一つがクラウドでした。
2年程前から検討していましたが、1年ほど前のある日、クラウド戦略チームが「神庭さん、もう早くやらないと駄目ですよ、クラウドはこんなに安くなってきました」と言い出した。いよいよだね、と言って前に進めたのです。