資生堂でIT(情報技術)を担当する亀山満情報企画部長兼資生堂情報ネットワーク社長は2年前、31年間勤めた日産自動車から資生堂に転職した。

 勤続30年目に亀山氏は「これから先どうしようか」とふと思った。新しい場所でチャレンジすれば、後10年は心も体も元気で働ける。上司に相談すると「30年間やってきたことをアピールできる履歴書を書き、自分で配れ」と言われ、その通りに実践、転職先を見つけたという。

 同じく転職経験を持つITリサーチ大手、ガートナー ジャパンの日高信彦社長がプロフェッショナルの転職について亀山氏に尋ねた。

(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=ITpro編集長)

亀山 満・資生堂 情報企画部長 兼 資生堂情報ネットワーク 代表取締役社長(右)と日高信彦・ガートナー ジャパン 代表取締役社長
亀山 満・資生堂 情報企画部長 兼 資生堂情報ネットワーク 代表取締役社長(右)と日高信彦・ガートナー ジャパン 代表取締役社長
(写真:的野 弘路、以下同)

日高:昨年の大きな挑戦として、iPadのような情報機器を現場で使っていく工夫や苦労話を伺いました(前編参照)。次に、亀山さん自身のことを伺います。日産自動車でかなり幅広い活躍をしてこられ、それから資生堂に移られた。

 日産時代には、ITを中心としつつも、ビジネスも一緒にやられて、中国にも責任者の一人として赴任されて、海外も飛び回っておられた。一連の仕事を通じて何を学んだのか。そのあたりをお願いします。

 資生堂の方に前職の話をあれこれ聞くのは本来おかしいわけですが、あえて伺います。亀山さんの考えとか姿勢は日産時代に確立されたものでしょうから。日産もどちらかというと日本的な経営から、カルロス・ゴーンさんが来られて大変な変革をして、グローバル経営に移った。そのあたりの経験が今後、資生堂の中で生きるのではないでしょうか。

亀山:日高さんと知り合ったのは資生堂に入る前でした。私がこちらに来たのは2012年2月です。その前は日産に32年弱、正確に申し上げると31年と10カ月おりました。

日高:同じメーカーとはいえ、自動車から化粧品というのはかなりの変化だと思います。転職のきっかけになった出来事はあったのですか。