亀山 満・資生堂 情報企画部長 兼 資生堂情報ネットワーク 代表取締役社長(右)と日高信彦・ガートナー ジャパン 代表取締役社長
亀山 満・資生堂 情報企画部長 兼 資生堂情報ネットワーク 代表取締役社長(右)と日高信彦・ガートナー ジャパン 代表取締役社長
(写真:的野 弘路、以下同)

 化粧品売場で接客を担当する「ビューティーコンサルタント」1万1000人に、iPadを提供し、メーキャップのシミュレーション、商品説明や業務連絡に使う。この「ビューティー・タブレット」プロジェクトを資生堂が始めてからほぼ1年が経過した。

 パソコンを使ったことがないビューティーコンサルタントも少なくなく、当初は苦労したものの、「お客様に声を掛けやすくなった」「楽しい、分かりやすいとお客様から言われた」といった意見が上がっている。この4月には利用者の間から、「活用事例をビューティーコンサルタント全員で共有していこう」という発言も出て、全国の代表者80人の研修会も実施した。

 ビューティー・タブレットをはじめ、資生堂のIT利用を進めている亀山満情報企画部長兼資生堂情報ネットワーク社長と、ITリサーチ大手のガートナー ジャパンの日高信彦社長が「顧客体験を変えるIT利用」について語り合った。

(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=ITpro編集長)

日高:資生堂は創業明治5年(1872年)、142周年を迎えた伝統ある企業です。この4月には、日本コカ・コーラで社長や会長を務めた魚谷雅彦氏が社長に就任し、話題になりました。大きく変えようという意思表明と受け止めました。

亀山:いろいろな意味で変化しないといけない、と言われています。つい先日も役員など幹部が集まった場で「脱皮できない蛇は死ぬ」というたとえで、「変化していくことで、成長していこう」という発言が魚谷からありました。

 資生堂グループのIT(情報技術)部門である情報企画部を預かっている私としては、我々の部門がさらに活躍していくチャンスであると受け止めています。

日高:何かを変えるときにITは格好のツールですからね。

亀山:ええ。ただ、チャンスであると同時に、一段と厳しいことになる可能性もあります。コカ・コーラというグローバル企業を動かしてきた人ですから、「こんなこともできないのか」と言われてしまうかもしれません。

 そう指摘されたら「ちょっと待って下さい」と言いたいけれども、それでは駄目で、すぐに自分たちでやる。そういう姿勢で取り組んでいくことが、自分たちの貢献を高めること、成長につながることだと思います。

日高:私もですが、亀山さんも転職経験者です。日産自動車から移られて2年くらいでしたか。

亀山:2012年2月入社でしたから、2年と3カ月が経ったところです。