2013年2月に始まったCIOいろはがるたも最後の札へとたどり着いた。2015年最後の月。今年を振り返る長谷島氏は、企業やIT部門を取り巻く環境の激変に注目しているようだ。話はそこから始まるが、持論はCIOの領域から企業全体へと広がり、今回だけでは紹介しきれない。そこで「ん」という札を足して、2回にわたり長谷島氏の提言を紹介する。

 2015年を振り返ると、IT関連の雑誌にとどまらず一般のビジネス誌が「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」といったITに関連するテーマの大型特集記事を組み、大きく取り上げていたことが強く印象に残っている。

 その取り上げ方は、従来のように「これらのITがどういったものか」という解説にとどまってはいない。「これらのITが企業やビジネスの成長、イノベーション、社会、さらに株価といったものに、どう関わっていくのか」にまで踏み込んで紹介していた。

 またここ数年は、「将来、こんなことがITでできるようになるだろう」と見込んでいたことが、想定よりも早く実現されるようになっている。思い描いていた未来の社会が、予想よりも早い時期に到来する勢いがある。

デジタル・ビジネスに心がざわつく企業の経営層

 世間が新しいITに注目しているという“ざわざわ感”は、企業の経営層にも伝わっており、他人事ではなくなりつつある。経営層自身の興味の真ん中にも、これらのITが確実に入り込んできているのだ。IoTやAIといった新しいITを積極活用したり、ヒト・モノ・コトなど様々なデータを駆使したりすることで新しいビジネスを作る「デジタル・ビジネス」に経営者の関心が集まっているともいえる。